色なき風
秋の風が心地いい
何故か私の部室はこれでもかというほどにクーラーが効いている
完全に冷えきった私の体を温めるように、生温い風が吹いた
どうでもいいことと、ほんの少しの大切なこと
これがしたいとか、あれが欲しいとか
唯一無二の自分でいたいってこと
自分でも痛いくらい分かってる
「今日仲良い子が忙しいみたいだから一緒にご飯食べよ」
「今日いつも一緒に帰ってる子いないから一緒に帰ろ」
もう聞き飽きた、聞き飽きた
「なんか今日は一人で帰ろっかな」
秋の生温い風が気持ち悪い
いつもと変わらない景色を眺める
耳から流し込んだ音楽はバスの進行方向と逆に進んでいた